派遣料金の見積の適性相場とは?算出と比較方法
2024.11.04
人材派遣を利用する決定材料として、派遣料金が一番の判断ポイントになる企業も多いかと思います。
しかしながら、複数の派遣会社に見積を取ってみたものの、「見積の金額が高いか、安いか判断ができない」「相場感がどれくらいか分からない」といった悩みを多く耳にします。
そこで今回は、初めて派遣を利用する企業が気になる、派遣料金の適性価格について解説していきます。
派遣会社から最適なコストで、質の高い人材の提供を受ける為にも是非参考にしてみてください。
1.派遣料金の内訳
人材派遣サービスを利用する際に、企業は人材派遣会社に派遣料金を支払わなければなりません。
料金体系は人材派遣会社によって異なりますが、派遣料金の大半は派遣スタッフの給料であり、全体の約70%を占めます。その他の金額は、派遣会社が負担する派遣スタッフの社会保険料が10.9%、派遣スタッフが有給取得する際に派遣会社が負担する有給費用が4.2%となっており、派遣スタッフに関連する合計費用は85.1%となっています。
(参照:『一般社団法人日本人材派遣協会』)
派遣料金の内訳には、派遣スタッフの給与の他に、マージンがあります。
「派遣スタッフの給与」+「マージン」
マージンは、派遣料金から派遣スタッフの給与を差し引いたものとなります。
マージンの多くは派遣スタッフの保険料、有給休暇費用、スタッフへの研修費・福利厚生費等を占めています。
派遣会社にはマージン率(派遣料金全体に対する、派遣スタッフの給与の「差額の割合」)を毎事業年度終了ごとに公開することが義務づけられています。
マージン率は上限・下限の決まりがなく、20%~40%が相場とされています。
2.派遣料金の適正相場を確認する方法
以下の通り①~③の流れで算出を行います。
①派遣料金の全国平均を算出
派遣料金の適正価格を知る為に、まず全国平均を把握します。
インターネットで相場に関する情報を調べることが出来ますが、厚生労働省資料をもとに自身で計算することも出来ます。簡単な計算で算出が出来る為、是非行ってみてください。
厚生労働省の「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、1日あたりの平均派遣料金(8時間換算)は24,909円です。
(参照:厚生労働省「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」)
ここから、派遣料金の全国平均を算出します。
(1)税込み時給を出す
24,909円÷8時間=3,114円
(2)消費税10%を控除した税抜き時給を出す
3,114円×0.1(消費税10%)=311円(消費税分)
3,114円-311円=2,803円
上記の計算式より、派遣料金の全国平均が2,803円/hであること分かります。(令和4度時点)
②算出した時給を地域に合わせて補正
次に、都道府県別の派遣料金を算出します。
①で算出した金額はあくまで全国平均のため、会社が所在する都道府県によって金額が前後します。地域に合わせた算出も厚生労働省の資料をもとに計算ができます。
今回は大阪府を例とし、金額を算出します。
厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」によると、最低賃金の全国平均が1,055円、大阪府の最低賃金は1,114円です。
(参照: 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)
ここから、地域別の派遣料金を算出します。
(1) 地域の最低賃金を、全国平均の最低賃金で割る(補正係数)
1,114円÷1,055円=1.0559倍
(2) 補正係数を、税抜で換算した派遣料金にかける
2,803円×1.0559倍=2,960円
上記の計算式より、大阪府の派遣料金相場が2,960円/hであること分かります。
③人材派遣会社が提示した見積価格と比較
地域に合わせた派遣料金が算出できたら、人材派遣会社が提示した見積と比較してみましょう。募集エリアでの派遣料金の相場が分かっているため、人材派遣会社の見積が適正であるかどうかが判断しやすくなります。この情報は人材派遣会社と派遣料金の交渉を行うときにも役立つ為、人材派遣会社に見積を依頼する前に確認しておきましょう。
3.複数社から人材派遣会社を選ぶポイント
①人材派遣会社の特徴・規模
人材派遣会社の数は多く、規模も大小様々ですが、派遣会社を選定する上で大切なのは、自社の要望を汲んで、人材を提案してもらえるかどうかです。
規模の大きい会社は全国に拠点を構えていることから、スタッフ数も多く抱えています。
また、規模が小さくても、特定の地域や職種など独自の強みを持っている会社も多くあります。自社のニーズに合った派遣会社を選定しましょう。
②営業担当者の質・提案力
企業と派遣スタッフのパイプ役となるのが営業担当者です。
自社のニーズを正しく理解した上で、サービスを提案してくれる営業担当者かどうかを見極める必要があります。
また、営業担当者には、派遣開始後もトラブルが発生した際に窓口として対応してもらうこととなります。企業と派遣スタッフの間に立ち、細かなフォローやクレーム処理の立ち回りを担い、迅速に対応することが求められます。派遣会社とは長期的な付き合いとなるため、営業担当者の質や提案力は重要です。
4.まとめ
見積の相場感を採用担当者自身が把握した上で、複数社から算出してもらい、比較検討して選定していきましょう。
また、人材派遣サービスの利用は、企業の業務効率を大幅に改善し、企業の成長を促進させることが期待できる反面、失敗した際のリスクも高いものです。ミスマッチを防ぐためにも事前の派遣会社と打ち合わせが非常に重要です。派遣会社との付き合いが長期的になるケースもあるので、価格以外の観点からも、ニーズに応えられる派遣会社かどうかを見極めるようにしましょう。